城殿さんからマナグア便り
じゃんぐるの皆様
皆様、お元気でお過ごしのことと思います。
すっかり"きまぐれ通信"になっているニカラグア・マナグアからのお便りです。昨日は、独立記念日で。今日は、サン・ハシント(アメリカ人W.ウォーカーらがニカラグアを侵略し一時この国を治めていたのを、独立の口火がこの名前の牧場から始まったのを記念しての休日。すべての公的機関にはRuben Dario, Augusto Sandino,それに反乱がはじまったこの牧場の様子の3つの絵がどこにも飾られています)の日の振り替え休日で、先週末から4連休です。
連休前に1泊2日で北部のコーヒー栽培地帯を私の職場で一番のコーヒー通のおじさんの誘導で見て回ってきました。もっぱらコーヒーおじさんの自主性を重んじて、今回の出張計画に私はいっさいちょっかいを入れませんでした。メニューはなかなか盛りだくさんで、通常であれば、2泊3日でも足らないないようでしたので、2日間続けて昼ごはんを食いそびれ、夕方に2食分を掻きこむ有様。今回巡ったホンジュラスとの国境に近い起伏の激しい地域で途中渡渉した曲がりくねった山道を上がったり下がったりの繰り返しで、パン・アメリカン本線を除けば地方の道はほとんどが未舗装。おまけに、激しい豪雨で土が流されたり、斜面が崩れたりで、いつも使っているランクルでもなかなか難儀な個所が数多くありました。
ニカラグアでは首都のマナグア周辺でもコーヒーが栽培されていますが、標高がせいぜい500メートルどまりなので、このようなところはいわゆるロブスター種で病害虫に強い反面品質面で見劣りします。それに比べると、北部の山岳地帯は昔から良質なコーヒーの生産地で、日本ではあまり知られていませんが、毎年国際的なコンペで好成績をあげているコーヒーは今回訪問した地域の1つ、ヌエバ・セゴビア産のもの。今年は1キンタール(だいたい65kg)4,000ドル(焙煎前の緑豆で)で取引されたものもあるそうです。この地域のコーヒー栽培農家のほとんどが所有面積1ha以下のところが多く、いくら高く売れるからといってもコーヒーだけで生計を営むことは困難です。時々みかける大面積のコーヒー生産者は別の場所に住み、アグリビジネスとしてコーヒーを作り、同時に自前の加工場を持っており、最近のように国際価格が好調な時期には十分な稼ぎがあります。しかし、ほとんどの中小農家は面積が限られていますから、コーヒーだけでなく、自家消費用に口にする果樹や野菜を植えたりして、作物の多様化と有効利用に努めています。これには、国よりも地元のNGOや組合組織が深くかかわってきたようです。
サンディニスタ政権はいろいろ問題を持っていますが、すくなくとも地方の貧困に真正面に取り組む姿勢はこれまでの政権になかったことで、貧困層には根強い支持があります。特に地方に行くとサンディニスタの末端組織の幹部は良かれ悪しかれ、とても熱心です。ヌエバ・セゴビアには小農がこのような限られた土地利用の多様化を積極的にすすめ、コーヒーのみならず果樹や野菜の有機農業(最初から意識的にとりくんだというより、現金収入の口が限られているので、身近な資源を利用した結果、それが一番理にかなっているという結論に達したようです)を実践して、自分たちの強みを出そうとしているようです。そのためには、小農同志の結束を強めることが決め手になるので、いつも人を出し抜くことを考えているような人はそのようなグループにも関心を持たず、貧困状態にあえいでいるのが実情です。
たまたま、今回訪問した場所やグループがその傾向が強かったので、そのような印象をもったのかもしれません。彼らと話していて、フェア・トレードという言葉を随所で耳にしました。現に、訪問した多くの団体は有機コーヒー(国際的な認証済み)を介して米国やEC諸国のこの問題に熱心な機関や団体と密接なかかわりがあるようです。
コスタリカのコーヒー地帯は雲霧林を切り開いたところに多くが分布していますが、今回訪問した北部の山岳地帯は熱帯の雲霧林ならぬ松林が自然植生の重要な部分を占めています。この一帯に自生するマツは数種類あるそうですが、一見すると素直に伸びたクロマツをイメージします。それにしても、マツの林床にコーヒーの取り合わせがユニークに思えますが、北部の山岳地帯では極めてありふれた光景です。日本ではマツが自生しているところは滋味がなく酸性度が高いというのが相場ですが、コーヒーは意外とやや酸性の土と水持ちの良い土が良いのだそうです。マツの大木の根元にモンテ・ベルデの着生植物や苔で覆われた雲霧林のような光景が見られるのも新たな経験でした。中米もいろいろです。それでは、今回はこのへんで。
城殿 博 Hiroshi KIDONO,Ph.D.
ニカラグア国農牧林業省付アドバイザー
写真:
平均的な朝食。その名もデサユノ・カンペオン
山間の寒村の表通り
あと1月少々で赤くなるコーヒーの果実
ただいま焙煎中のコーヒー豆
松林の林床に植えられたコーヒー
NGOの垂れ幕_森がなければ水もなければ命もない。私たちがそれを守るのが務め





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